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ムースの隠遁

初見。


私、フランソワ・オゾンが大好きでして。WOWOWの番組表で、初めてこの映画の存在を知りまして。その時、私が何と言ったと思います? 答えは、あらすじの後にて。



あらすじ

彼氏のルイと共に、ヤク漬けの生活を送っていたムース。ドラッグの過剰摂取によりルイが急死し、残されたムースのお腹の中には赤ん坊がいる事が発覚する。


ムースの隠遁



はい、正解は「ブリャンジョバ・ボジョォォォンッ!!(フランソワ・オゾン!!)」でした。くっだらね。


昔の映画とかだったら、ネットで調べればすぐに検索できるんだけど、いつ作られるか分からない新作は、気づいたらリリースされてるから、なかなか気づけないんだよね。その分、発見した時の喜びは格別なんだけど。


失禁寸前まで喜び、半笑いの醜い顔を隠す素振りすら見せずに鑑賞しましたともさ。


結論から言えば、とてもオゾンっぽかった。この内容ならば、もっと濃く感動的に描こうと思えばできるのに、上映時間は90分にも満たないし、淡白に次々と話が進んで行く反面、伝えたい事は全面に押し出している。(『ぼくを葬る』の時も同じような印象)


また、私がオゾンを好む理由の一つとして、景色のチョイスが素晴らしいんだよね。開放的で素朴な自然の風景に、汚れきった心が洗われる。


最近のオゾン作品の傾向から、家族や子供を持つ事への憧れみたいなものを感じ取れる。昔からそのテーマに触れてはいたけど、必ずと言っていいほど皮肉や血が絡んできていたから、そんなブラックな部分よりも愛の方に重点を置きたくなるような心境の変化があったんだろう。


それはそれで好きなんだけど、今回の作品は、どうしてもモヤッとせざるを得なかった!


以下ネタバレだよ↓


















ルイの子供を身ごもったムースは、彼の母親の「堕ろしなさい」という意見をシカトし、田舎の家で隠れるように一人、出産の日を待っていた。したらば、ルイの弟でゲイのポールがやって来て、一緒に過ごすうちに彼に対して特別な感情が芽生える。


出産後、自分は良い母親になれないと考えたムースは、子供を愛してくれるであろうポールに預け、自分はどこかに隠遁する。


……モヤッとするぅぅ~。


なんだかなぁ。妊娠中に、ポールの「なぜ子供を産もうと決意したのか?」という問いに、ムースは「自分は好奇心が強いから、目の色は何色をしているかとか知りたい」的な返答をしていた。


そして、いざ出産した後の彼女の様子は、赤ん坊から少し離れた距離にポツンと座り、ボーっとした表情をしている。まるで「産んだ赤ん坊がどんな顔をしていたか分かったから、もう興味がない」みたいに。


もちろん彼女は子供を愛しているし、去る決意をしていたからこそ、赤ん坊と接するのを心を鬼にして避けていた、と解釈はできる。でも、結果として子供を育てるのを放棄した事には変わりはない。


ポールは養子であり、「産みの親よりも、育ての親」だと言っていたように、彼が今後責任と愛情を持って、この赤ん坊を育てていくのならば異論はないけど、ムースが自分を更生させた後に再び戻って来る気がある事に、どうしても違和感を感じるんだよ。


自分は子育てを放棄しておきながら、突然現れて「私は母親よ」と言うつもりなのだろうか。どう考えても虫が良すぎるのでは。赤ん坊の幸せのために去ったのに、自分の幸せのために戻るようにしか思えない。


また、細かい事なんだけど、ポールの行動にも少しモヤッとしたものがあった。


妊婦の前で平気でタバコ吸ったり、ムースがお腹の痛みを訴えた時も大した心配もせず彼氏とイチャイチャ。些細な描写だったんだけど、私はこういうところに執拗に反応するからね。もうハゲタカだよね、自分。


わおっ、釈然としない気持ちを吐き出してたら、ダラダラと長文になってた。親と子をテーマにした映画を観ると、どうしても親のご都合的な行動に怒りを感じてしまって、我を忘れてしまうわ。自分に何か、親から受けたトラウマとかがあるのかね。記憶にないけど不安になってくるわ。


という事で、最後まで読んでいただいた方には、愚痴っぽくなってしまい申し訳ないっす。


最後に全力で否定させてもらうけど、決してこの映画が駄作だという訳ではないので。受け止め方が人それぞれだというだけで、監督の意図するメッセージはちゃんと届いているはずだからね。


辛口になるのも、愛があるからこそさ!!





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コメント
31: by シャロン on 2013/06/23 at 14:18:49 (コメント編集)

その行動の不理解さやこちらの感じる理不尽さって、きっと生活の中にゴロゴロしてるんだと思います。
綺麗ごとだけじゃないぞ、的なことなんでしょうか…。

でも、そんなことを考えさせてくれて、自分を客観的に見ることができたりしちゃうんですから、映画の力は凄いです。

32:コメントありがとうございます♪ by ベネディクト on 2013/06/23 at 14:59:07

>シャロンさん

こんにちは!

そうなんですよね。
たとえば映画の中で、あからさまに卑怯な行動を取る人がいたとして
腹が立ったりもするんですが、では現実で自分がその人と同じ状況にたった時、
正義のために立ち上がれるか、と問われると答えは「NO」なのだと思います。

本当に映画の力って凄いと思います!
映画に出会った時の「なんちゅー世界や!」という新鮮な驚きは今も忘れません。

自分の人生を投影したり、はたまたダメ映画を観てやいやい言ったり(笑)、
楽しみ方も様々で、これだから映画鑑賞はやめられませんよね!!

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映画への愛は半端じゃないですが、適当な性格なので、愛がうまく伝わっているか自信がありません。というか、何の話をしてるんでしょうかね、私。

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